「雫―――」


――どうしてかなんて、
オレにだってわかんねーよ。


でも……やっぱり、お前は
違うんだ。


オレが欲して、追いかけたく
なるものが、お前の中には
見出だせない。


オレがホレるのは、
お前じゃない――。



でも、この感情をうまく
説明する言葉が見つからなくて、
結局ただうつむいて黙り
込んだままでいると。


「やっぱり……あのコが
いるから?」


「え―――!?」


「……そうなんじゃないの?

あたしに諦めろって言う
なら、ハッキリ教えてよ。

やっぱり、あのコが好き
なんじゃないの?」


『あのコ』。


『亜莉紗のことが、好き
なんじゃないの――?』



――ふと。


雫の泣き顔に、昨夜の亜莉紗の
泣き顔が、ダブって見えた
気がした。


でも、それはもちろん、錯覚。

2人は似ても似つかない、
全くの別人だから。


でも、その錯覚を見た瞬間……
爽介には、わかったような
気がした。


――そうだ……。

雫と亜莉紗は、全く違う。