そーだね。


あたし、今でもデザインが
大好きだよ。


小さい頃からレストランとか
料理とか、そんなものに
ばっかり囲まれてたあたしが、
初めて自分から興味を
持ったものだもの。


パパの敷いたレールじゃない、
自分の道を歩きたい――
そう思うきっかけをくれた
ものだもの。


「――どーして、そう
思ったの?」


その問いが、あたしなりのYES。


爽介は、きっとすぐに
気づいたんだろうけど、
何気ないふうを装って
サラリと答えた。


「見てりゃわかる。

店のスイーツ見てても、
ただ騒ぐ他の女とは目が違うし。

何よりうちに来たばっかの
頃、やたらつまんなそー
だったからな。

ホントはこんなことしたいん
じゃないのに、みたいな」


――そっか。

そんな最初から、
見抜かれてたんだ。


あんなにケンカばっかり
してたのに……意外な
ところで、ホントに鋭いね。


「でも、少ししたらお前、
目つき変わってきてさ。

蓮の教育のタマモノか
どーかしんねーけど、
けっこういい顔で仕事する
ようになったぜ」