「え―――…」


「蓮はすげー人間ができてるし、
なんでも柔軟にこなすけど。

みんながみんな、そうって
わけじゃないからな」


それって、あたしが人間が
できてないってこと?


チラッとそんなことも
思ったけど、とてもそんな
皮肉を言う気にはならなかった。

それよりも、驚きの方が
大きくて。


「それじゃ……あたしが
あのオバサンに謝らないで
いいように……!?」


「………他にねーだろ」


そりゃ、状況を冷静に
考えればそうかもしんないけど。


でもまさか、爽介があたしの
為にそんなことしてくれる
なんて……。


――本人の口から聞いても、
まだちょっと信じられない。


「あの女、オレらも知ってる。

オープン当初からマジで
迷惑してんだ。

毎回、新条さんとか蓮が
辛抱強く対応してるけど」


「そーなんだ……」


オープンっていったら、
1年以上前。相当年季が
入ったクレーマーだったのね。