――ホンキなの、爽介!?


着替えもまだなら、当然
一切の私物もロッカーの中。


ってゆーかそれ以前に、
爽介が出てきた理由も、
なんでこんなことになってるの
かもわかんない。



あたしは完全にパニクってた。


状況が理解できなさすぎて、
それ以上言葉も出ない。


外に出てすぐの場所で、
爽介は自分のベストを脱いで
あたしの肩に羽織らせる。


そして、店の前の通りで
タクシーを停めると――
そのまま、あたしを連れて
乗り込んだ。



もぉ、何がどーなってんの?


さっきまで、店内であの
クレーマーオバサンと対峙
してたはずなのに……。


ゆっくりと動き出した車窓
から、見る間にパティスリー・
ルナの外観が小さくなって
いくのが見える。


あたしはそれを、どこか
夢の中にいるような心地で、
ボンヤリと眺めてた……。




     ☆☆☆☆☆


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