パティシエの3人が、毎日
どれだけ一生懸命スイーツ
作ってるかも知らずに。



どれだけ苦労して、この夏の
新メニューを作りあげた
かも知らずに。



言いがかりであんなヒドい
こと言われて、黙ってなきゃ
いけないなんて……!




「どうなってるの、この店!?

お客に失礼な口聞くだけじゃ
なくて、謝りもできないの!!?」


しばらくあたしとマッキーの
やり取りを黙って見てた
オバサンが、また自分が
優位に立ったと判断したのか、
さっきの勢いを取り戻して
わめき立てた。


「アリィ……!」


その声を受けて、マッキーが
もう一度あたしの名を呼ぶ。


望月さんじゃなくて、
『アリィ』って呼んだ。


きっと何か、伝えたいことが
マッキーにはあるんだろう。



でも――わからない。



だから――謝れない。




謝りたく、ないよ……!!