怒りで熱くてボーッとする
頭の片隅で、もう1人の
あたしが人事みたいに
そんなことを考えてる。


そのとき、ホールの方から
急ぎ足でこっちに向かって
くる足音が聞こえた。


オバサンを睨みつけた目を
一瞬だけそっちに向けて
みると――

緊張した顔つきのマッキーが、
フワフワの髪を揺らしながら
オバサンに駆け寄る。


騒ぎを聞きつけて、やって
来たんだ。



マッキーはあたし達が注目
するなか、開口一番その
オバサンに向かって――、


「申し訳ございません、お客様。

当店のスタッフが大変
失礼を申しました」


深々と頭を下げて、そう謝った。




――え? なんで!?


そんなクレーマーオバサンに、
そこまで頭下げなくても
いいじゃん。


あたしは驚きで目を見開いて、
マッキーを見つめる。


マッキーも、頭を上げると
すぐにあたしを見て、


「望月さん、あなたも
お客様にお詫びして」