『それより、なんなのアレ?』


『なんか、買った商品に
髪の毛入ってたとかでぇ。

レシートないのに返金して
とか、タダでもう1回
ちょうだいとか……』


ナニそれ。


レシートないんじゃ、その
話がホントか嘘かもわかん
ないじゃん。

イヤ、レシートあったって、
家に商品持って帰っちゃえば
髪の毛なんてどこで入ったか
わかんない。


『てか、返金して欲しいなら
レシートかその商品持って
くるのが普通じゃないの?』


『普通はね。

そか、亜莉紗まだ知らないんだ』


咲希のセリフにあたしは
首をかしげる。


『知らないって、何を?』


『あの人、たまに来るんだよぉ。

その時によって話の内容は
違うんだけど』


なるほどね。


つまり、あれか。


あのオバサンは、いわゆる
クレーマーってやつね。

でたらめの言いがかりで、
苦情言ってくる人。


それならレシートが
ないのも当然。

下手したら、買ったって
いうのだってウソかもしんない。