帰り道、あたしたちは手を繋いで、
だけど二人とも、ずっと黙っていた。

この角を曲がると、もうあたしの家が見えるいう所で、不意に大和が立ち止まる。

「好きになった人がさ、自分の事を好きになってくれる確率って、どのくらいなんだろう」

「さあ、多分すっごく低いのかもね」

あたしが答えると、大和はまた黙ってしまった。

あたしたちは、再び歩き出す。

「じゃあね。送ってくれてありがとう」

結局、あたしたちはあれから何も話さないまま、あたしの家の前まで歩いた。

「彼氏だし」

大和が静かに笑う。

「ねえ、大和。人を好きになるって、難しいね」

「うん」

「あたしは、大和を好きになってよかったよ」

「本当に?」

「本当に」

「そっか」

大和が安心したように、ふっと息を吐いた。

「さっきから元気ないじゃん。どうしたの? ほっぺまだ痛いの?」

どうもいつもの調子でない大和をからかうように言うと、

「えっ? こんなのもう痛くねーよ」

大和は自分で頬を叩いて言った。