「あー、あのさ、佳奈に何言われたか知らないけど、気にするな……って言っても、無理だよな。俺、今までが今までだし……。だけど、俺の気持ちに嘘はないから、時間がかかってもいいから、信じて欲しい」

あたしを見つめる大和の瞳に、嘘はなかった。

「帰ろっ」

笑顔で大和の腕に飛び付くと、大和は「おっ」と驚いた後、「ありがとな」と呟いた。

あたしは大和を信じよう。

大和の言葉を信じよう。

心の中をもやもやと覆っていた雲が、すっと消えていった気がした。

「梅雨、早く明けるといいね」

「だなー」

あたしと大和は目を合わせて笑うと、手と手を繋いで歩き出した。