「美咲」

「ん?」

大和があたしの手を取って、自分の方を向かせた。

もうずっと前から近くにいるのに、向かい合ったこの距離が、今日は何だか照れ臭い。

「俺、絶対に美咲を不安にさせない。泣かすようなことも絶対しない。ずっと美咲を大切にするから。だから、俺と付き合ってください」

あたしは、きっと今まで、この瞬間を待っていたのかもしれない。

いつだって、大和と一緒にいたかった。

それを恋だとは気づかないふりをして……。

友達だから特別なんて、ただの強がりだったんだ。

それに気づいた今、あたしはやっと素直になれる。

「いーよっ」

そう言った瞬間、あたしの身体は引き寄せられて、大和の腕の中に収まった。

「やった。すっげー嬉しい。もう絶対離さないっ」

あたしを抱きしめる大和の腕に力が入る。

「ちょっと大和、苦しいってば。離してー」

「やだ。離さない。離れたらキスするよ」

離さないはずの大和の腕が、少し緩む。

「離れちゃったよー」

わざと大和の腕をすり抜けたあたしに、大和は言葉の通りキスをした。