「………何の冗談?」

こっちは真剣に質問してるのに…
今のが真面目な答えには到底、思えなかった。

「…冗談じゃないんだ。」

「じゃあ、からかってるのね。そもそもね貴方自体、何者なのよ。勝手にウチへ来ては勝手に私を連れ出して…立派な誘拐よ?これは」

拐いにきたの?なんて期待して聞いた自分の事など忘れたフリをして私は彼を責め立てた。

「…ルナ。ボクは嘘は嫌いだ。」

「私だって嫌いだわ。大っ嫌いよ」

「だから嘘はつかない。誓うよ」

「…わかった。
とりあえず信じる。
じゃあ、説明して。
一から、分かるように」

落ち着かせようと自分で自分を宥めて、ゆっくりとベッドに腰かけた。

「まずは……ボクの事から話そうか。」

彼も隣に…、と思ったらいきなり背中に軽い衝撃が走り、目の前には天井。…押し倒されたのだと気づくのに少し時間がかかった。

「…レイ!離して…、」

「大丈夫。痛くしないから」

「ぁっ……、」

首筋に舌の感触。思い出したくない過去がフラッシュバックする。

「やめっ…」

首筋を燃えるような痛みが襲った。
水音が生々しく耳に届き、血の匂いが鼻をついた。
しかしそれも一瞬。
次には形容しがたい快楽に見舞われた。

「ん…ぁっ…」

思わず甘い声が溢れる。

「…はぁ、やっぱり。思った通りルナの血は格別。」

「っ…は、ぁ…」

「あ、ごめんね。」

「…あ、貴方…」

指についた血を見せつけるように舐めてからニヤリ、と厭らしく笑ってみせた。

「バンパイアなんだ。」