吸血族で成り立っているこの国と、魔族で成り立っている隣国は、王子…つまり私のお父さんがいた昔は、仲が良く交流があったけれど、お父さんが魔女と喧嘩をしたその時から、この国は隣国と疎遠になり、今では冷戦状態になっているらしい。

お父さんと仲の良かった魔女は、隣国の女王で、私と結婚させようとしている息子(シェイドと言う名前らしい)はつまり王子という事になる。

何故、
魔女は私にこだわるのか、

それは私が人間とバンパイアのハーフだから。
そんな私とシェイドの子供は、魔力を持ち、かつバンパイアの能力も併せ持つ、最強の逸材となり、その子を利用し、この国を乗っ取ろうと考えているらしい。


…魔女らしい、
素晴らしく最悪なシナリオだ。


「つまり、結婚できなくても
最悪、ルナとシェイドの子供を作らせようと目論んでるんだよ魔女は。」

「…そんな、」

「大丈夫だよ。ルナ」

真っ直ぐに私を見つめる紅い瞳。安心させるように柔らかく弧を描く。

「ボクが守ってみせる。
たとえ、命にかえても、ね」