「ルナ…いやルナ姫。
私がルアシェイア王国、王族専属騎士第一隊長のレイ・セレーネです。
先程は姫様の高貴な血を頂戴するなどの無礼、お許し下さい。」
胸に手を当て深々と頭を下げ、丁寧な口調で謝るレイはすっかり騎士となってしまった。
「そんな…レイ。
やめてよ。私なんかに敬語なんて…さっきみたいに話して。お願い」
「……そお?」
「うん」
「良かった~。なんかルナに姫って付けるの距離感じちゃうから嫌だったんだよね」
「…でも、」
「ん?」
「その…私の血…の」
「あぁ。それが何?」
「悪いと思ってないわね…?」
「?うん」
「………最低!」
あっけらかんとまるで罪悪感を感じていないレイに傍にあった枕を投げつけてやった。…避けられたけど。
「怒ってる?」
「当たり前よ。バカ」
「ごめん。でも、そうしなきゃ信じてくれないから」
私の投げた枕を抱きしめて
しゅん、と悲しそうにいじけるレイを見て、一つため息。
「いいよ。もう。許してあげるわよ」
「ありがと。やっぱり優しいね、ルナは。…そういうとこも王子ソックリだ」
ニッコリという言葉に似合うような満面の笑みで私に笑顔を向けてくれた。
つられて思わず笑顔になる。
「ねぇ、聞きたい事はたくさんあるけれど、とりあえず、」
「んー?」
「私はこれからどうしたらいいの?」
「そうだね。肝心な事を話してなかった。ごめんね。
ルナは、これからこの城で暮らしてほしい。さっきも話した通り、君は魔女と、魔女率いる魔族軍に狙われているからね。あのまま元の世界にいたら危険だから。」
「その、魔女の事についても
詳しく聞きたいんだけど…」
長くなるよ?と断りを入れてからレイは分かりやすく丁寧に魔女について説明してくれた。