もうひとつ気になることがあった。

城で行う結婚式。

もしかしたら王子に逢えるかもという微かな期待。

ところが王子の姿はどこにもなかった。

やはり目が合うことを避けて、姿を見せないんだろうか?

「今日は王子は不在のようだね。」

隣のおばあちゃんが呟いた。

「そうなんだ。」

「でも王子が出席するのは難しいだろうね。
招待客の中には、奏美のように若い娘もたくさんいる。目を合わせずにこの場にいるのは無理だろう。」

「だよね。」

いつだったからミリーから聞いた王子の結婚についての決まりごと。

なんでそんなことになっているんだろう?