それは間違いなく先生の声だった

鼓動がどんどん早くなる


「男一人だとどうにもならなくて。
誰か作ってくれる人でもいてくれればいいんですけど」


「林先生ならすぐできますって~」


「いやいや・・・この職業って本当に出会いないでしょ?
高岡先生も今の彼氏離さない方がいいですよ」


「彼氏・・・?」


先生の表情が強張るのが声からでも分かった


「あれ?いないんですか?
いると思ってちょっと鎌かけたんだけどなー」


林の笑い声に先生はふと頬を緩め
取り繕うように林の肩を叩く


「・・・何言ってんですかぁ。
彼氏なんていませんよ・・・」



ぐらっと景色が歪んだ
そんなの当たり前だ。
そうやって答えなくちゃいけない関係なんだから。

そう自分に言い聞かせてるのに
先生のその言葉は予想以上に俺の心に傷を付けた


「じゃぁこれからお互い頑張りましょう」


二人の笑い声を背中に感じながら
俺はそっと職員室の入り口にある鍵箱に手を伸ばし
その場所を後にする

やっぱり俺だけなんだよな・・・
そんな気持ちでいっぱいになる自分が虚しくて仕方なかった