次の日から
彼は放課後毎日のようにあの教室に訪れた


「ここの、haveってさ…」


たった30分の時間。
彼は必死にあたしの言葉をノートに書き写す


「先生、何かごめんね。毎日こんな感じで…」


「ううん。
実際あたしの方も勉強になってるし。」


本当は自分の仕事だけでも手一杯だったけど
こうやって生徒があたしを頼ってくれるのは嬉しかったし
そして何より日が経つにつれ、あたしはこの時間が楽しみになっていた


「本当?
でも後輩の言ってた通りだな〜」


「ん?何が?」


「先生の説明って本当分かりやすい。
俺さ、絶対誰にも教えたくないもん」


「…何それ。」


咄嗟に顔が赤くなる。
そんな小さな動揺を見せないように
あたしは下を向き顔を隠した




「…ぷ」


すると頭上から聞こえた小さな笑い声


「へ?
何で笑うのよー!」


「ううん。
なんとなーくだけどさ…。
先生が“えりちゃん”って呼ばれてる理由が分かる気がしたから」


「それは…
ほら!あたしまだ皆とそんなに歳離れてないし」



すると彼はあたしの目をじっと見て
ゆっくりと口を開いた