ん………?


「は?
だってあたし、君の英語担当じゃないし」


突然の提案に戸惑ったあたしの反応に
君がくすっと笑った


「だって南先生って質問とかできる雰囲気じゃないじゃないですか?
それに先生のことは後輩からよく聞いてるし。
分かりやすいって評判ですよ、高岡先生。」


不覚にも名前を呼ばれ
ドキッとする。
いけない。これじゃぁちょっと褒められて喜んじゃってるのが、バレバレじゃない。


「お…教えるって?
何を?」


「俺ね大学受験、推薦でいこうと思ってて。
だから今度の期末と模試は絶対頑張んないといけないんですよ。

たった一ヶ月だけだからさ。
ね?先生!お願い!」



あまりに必死な彼のお願いに
色んな意味を含んだドキドキが、あたしの胸を支配する

一ヶ月も?とか。
何であたしなの?とか。

何だか全部の?が飛んでいってしまうくらいに、半ば押し切られたあたしは
渋々返事を返す



「…分かった。

けど!
放課後少しだけだよ。
本当に分からないとこだけ…だからね。」


「本当?やった!
ありがと先生。

…あ。後今更かもしんないけどさ…。
俺三年の赤谷寛人っていいます。」



そう言って
照れた笑顔を見せた彼につられて
何だかあたしも一緒に笑顔にさせられてしまった




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