亮輔さんに抱えられ、陸さんはやっとの思いでアパートの玄関までたどり着いた。



「亮、わりぃな・・・おめーの退院祝いん時に・・・」



「気にすんな!んなことより、明日病院行けよ?顔もひでぇぞ」



「ああわかってる」



あたしの肩に寄りかかっているが、立っているだけでも辛そうな陸さん。


それを察し、栞と亮輔さんは早々と話を切り上げて帰って行った。



「陸さん、大丈夫!?」



消毒液がないので、水で濡らしたタオルを傷口や腫れている部分にあてた。



「いっ・・・てぇ・・・」



痛そうに顔を歪ませる陸さんを見ると、こっちまで辛くなってくる。


幸い骨折はしていないようだったが、腕や足が紫色に腫れあがっている。



「明日朝一で病院に行こうね?」



顔の腫れている部分を冷やしていると、あたしの手に陸さんの手が重なり、口を塞がれたのでとっさに離れてしまった。



「・・・なんで?」



少しいじけたような目で見てくる。



「なんでって!!急に・・・!!病人なんだから大人しくしてなきゃっ…ほら、腕痛いんでしょ!?」



そう言うと、陸さんは左手を高く上げてみせた。



「右はきついけど・・・左はなんともねーよ?」


「・・・そういう問題じゃ・・・」