「うるせーな。その汚ねぇ手どけろっ」
あたしの方に詰め寄ろうとした陸さんを、周りにいた奴らが取り囲んだ。
「おい、てめーの相手は俺らだよ!」
「今日できっちり決着付けようぜ」
10人相手なんて・・・いくら陸さんでも無理に決まってる!
「陸さんっあたしの事はいいから逃げて・・・ッ」
あたしの言葉に一瞬こちらを見て、優しい笑顔を見せる。
まるで“大丈夫だ”とあたしを安心させるかのように。
次の瞬間取り囲んでいた男達が次々と陸さんに殴りかかっていく。
しかし陸さんは・・・ただ殴られ続け、やり返そうとはしない。
・・・どうして・・・!?
陸さん・・・!!!
「やだ・・・やめてぇーーーーーーーー!!!」
あたしの声など届かない。
顔はもちろん頭、腹、腕、足・・・全身をボコボコに殴られている。
それでもただひたすら殴られ続けている陸さんを、これ以上見ていられなかった。
「ハッ!あいつどーした。・・・つまんねー男になったなぁ」
横でそうつぶやいた宇都宮は呆れた顔をしていた。
「ねぇ!もういいでしょ!?あんだけやれば十分じゃない!」
「・・・この俺をコケにしたんだ・・・あいつだけはぜってぇゆるさねぇ。二度と単車に乗れなくしてやる」
殺気立った顔つきで陸さんを睨み続ける。