あたしの顎を強く掴み、ぐいっと上を向かせられる。



「宇都宮さん!!そうっすよ!乱華の奴らの単車停まってますもん!」




腕を掴んでいた男が駐車場を指差す。



宇都宮・・・ってもしかして・・・!!



その時、単車に掲げられていた旗の文字が目に入り、背筋が凍った。



“Death”


こいつらが百合さんを・・・!!


そしてこの男が宇都宮!?



あたしの腕を掴んでいた男の力が一瞬緩み、その隙をみて走り出した。



・・・が、すぐに他の奴らにがっちりと掴まれる。



「は・・・離して!!」



「話終わっちゃいねーんだよ!」



宇都宮があたしを冷ややかな目で見る。



「おい、またあん時みてーに可愛がってやれ」



その言葉に、一斉に盛り上がる男達。


2人に強く掴まれている両腕はびくともしない。




こうなったらこの腕思いっきり噛んで…その隙に逃げるしかない!





「き・・・桐谷!!」



その時、近くにいた奴が叫んだ。


後ろを振り向くと、鬼の形相をした陸さんが立っていた。



「・・・てめーら」



陸さん!?

店内からここの場所は死角なのにどうして・・・!?



「桐谷、久しぶりだなぁ・・・最近大人しいと思ってたら・・・この女のせいか?」



宇都宮が半笑いであたしを見る。