「奈緒には・・・すごく辛い思いさせてたよね・・・ずっと言いだせなかったんでしょ・・・?」


「・・・うん」


「お母さん最低だね、もう母親失格だよね・・・」



「・・・ううん」



「あなたに・・・会ってちゃんと謝りたいの・・・」



あたしは頷くのが精一杯だった。


涙が止まらない。


久しぶりに聞いた母の声は、やっぱり安心する。




「でも・・・奈緒はもう私と会いたくないんじゃないかって思って・・・ずっと電話するの躊躇ってた・・・」


「・・・ううん」




会いたくないわけない。


一人でも生きていけるんだって思って家を飛び出したけど・・・


心のどこかでずっと母の事が気になってた。


あたしのことを見捨てたんだろうかとか。


本当に忘れられてしまったんだろうかとか。



「お母さんね、ようやく目が覚めた。あなたがいなくなってあの人に今までの事を告白された時・・・。すぐにでもあなたに電話したかった。でもその時あの人がいる家に連れ戻して本当にいいんだろうかって・・・すごく悩んだのよ・・・」



「・・・うん・・・」



「奈緒の事が心配で心配で・・・毎晩寝れなくて、こっそりあなたを探しに行ったりもしたわ」



「え・・・あたしを・・・?」



「ええ。あなたの同級生のお母さんと街で会った時、奈緒をよくコンビニでみかけるって聞いて・・・そのコンビニに毎晩のように行って。ようやくあなたの姿を確認して安心した。すごく幸せそうな顔だったから・・・隣にいた男の子、彼氏なんでしょう?」