「おめーなぁ、最初っからそう頑なに断んなや」
半分呆れ顔で今江君の肩を抱く陸さん。
「俺はおめーだからまかせようと思ったんだ。2年間一緒に走ってきて、おめーならできるって確信してんだよ」
「・・・はい」
少し自信なさげに返事をすると、
「今江!俺も助けてやるから!一緒にがんばろーぜぇっ」
「あー俺も俺も!!」
「桐谷さん達いねーのは寂しくなるけど・・・もっと乱華盛り上げていこーぜ!」
・・・と、周りから後押しする声が飛び交った。
「・・・おめーら・・・」
今江君はみんなを見渡すと意を決して陸さんに言った。
「桐谷さん、…後は俺にまかせてください!今よりもっと・・・もっとでかいチームになってみせますから!!」
「おー、いいね!楽しみにしてっからよ」
陸さんは本当に嬉しそうだった。
これが陸さんの築いてきたものなんだよね。
みんな助け合って励まし合って。
なんか温かい。
暴走族は傍から見たらただの迷惑な集団にしか思われてない。
大人はすぐに排除したがる。
死んだって自業自得だなんて思われてるんだろうけど・・・
彼らの中にも優しい心はあって、こんな風に仲間を思いやれるいい子たちもいっぱいいるんだってことを世間は知らない。