「どうして…言ってくれなかったの?

分かったら私だって……。」


「私だって何?
芸人の夢捨てて、俺と一緒に先の見えない苦労をしょい込むってか?」


穏やかな顔から、鋭い目に変わり、私を睨んだ。




ビクッ




「だから、俺はお前の前から消えたんだ。
お前の真っすぐな性格を知ってっから。」


「清志…。」


「ゆっくりしてけ。俺、そろそろ仕事だから…。」


「待っ……。」


伝票を片手に握り占めて、レジに向かう清志の背中をただ…見送るしかなかったんだ。