手を離した後に気づいた。
あたし、緊張してるんだ。
少し湿った手を眺めながら、ガタガタとギターを準備している瑠衣に、そんなことを思ってた。
「あれ、そういえば栞は?」
「…永原なら、用事がある、って帰ったけど」
なんだ、栞は帰っちゃったんだ。
「永原がいなかったら俺のギターは聞けない?」
「まさか。そんなことで追い返すほど、私はひねくれてないわよ」
「ならよかった」
ヘヘッ、とまるで子供みたいに笑う瑠衣。
あんまり同い年の男の子と関わる機会がなかったからな。
男の子って、みんなこんな感じなのかな。