「それって、ギター?」
ケースを指差しながら尋ねた。
「そうだよ」
じゃあこの人が、北瀬瑠衣!?
瑠衣っていうから、てっきり女の子かと思った。
でも、よく見たら女の子にも見えるかも…。
真っ黒な髪、大きな瞳に長いまつげ。
きわめつけて、しなやかな細い体。
ギターよりもピアノが似合いそうな細い指。
それなのに、雰囲気から漂ってくるのは、同い年の男の子。
「初めまして、北瀬瑠衣です
村上さんとおんなじ高校2年」
あっ…
「一一…っ、村上芙由です!」
思わず言葉につまってしまった。
目の前に差し出された綺麗な手に、動揺してしまった。
恐る恐る自分の手と合わせて、握手をする。
握った手は、やっぱり男の子の手だった。