別に、死ぬのは怖くない。
だから、手術だって受けてもいいと思ってる。
私はね…。
問題はお母さん。
一人娘が心臓病と知って、倒れてしまうくらい弱い人。
死んでしまった後のことを考えると、お母さんのことが心配になる。
一一ガラッ
「芙由〜、久しぶり!」
「あっ栞!久しぶり〜」
勢いよく病室に入ってきたのは、友達の栞《シオリ》。
「どうしたの?」
「友達の顔見に来るのに理由が必要?」
「それもそうだね!」
はい、と手渡された箱を受け取った。
中身は私が好きな〇〇屋のプリン。
二人並んでそれを食べるのが、いつものお決まり。
「たまに食べるとすっごく美味しいんだよね〜」
「…栞もたまにしか食べないの?」
私は、糖分摂取量が決まってるからなかなか食べれないから食べてないけど。
「親友がたまにしか食べれないんだったら、自分だってそうするわよ?」
自信満々に言う栞が可笑しくて、思わず吹き出してしまった。
やっぱり、友達っていいな。
こうやって、何気ないことで笑って。
楽しくお喋りが出来る。
こうして入院したことで、栞の存在が大きいのを実感する。