――――― ――― 「………ってわけなんだけど」 『やっぱり私の勘当たってたじゃん!しかし先生も大胆だねぇ』 私はあのあと、今までのことを絵美に電話で説明した。 『でもさ、和葉はどうだったの?』 「え?」 『揺れなかった?気持ち』 「…ないよ」 ない。 ……けど。 あの真剣な表情がずっと頭にこびりついて離れない。 思い出す度に、心臓がじんじんする。 傷つけられた痛みとは少し違う胸の痛み。 電話を切ったあとも、ずっとそのことを考えていた。 .