嫌い、に決まっている。
「…あたし、由美と新田って付き合ってるんだと思ってたわ」
「悪いけど栗原さん、俺にそんな趣味ないから」
私の目の前にある女の子より女の子らしい顔は、はんと鼻で笑う。
天使だなんだと騒がれるその顔は、私には悪魔にしか見えない。
「ああそうか、私も大嫌いだ。嫌いも嫌い、こんなドSなんてこっちから願いさげ」
いちいち反論するのも癪なので、私はふんと開きなおって顔をそらした。
いつも通りの反論の言葉がくると思っていたらしく、天使は元々大きな目を更に大きくした。
ああ、私がどんなにその大きな目を何度欲しいと思ったことか、この天使は知らないことだろう。
悪魔に天使の顔を渡すなんて、神様のけち!!それなら私に!とかなんとか思っていると、目の前の天使の眉がいつの間にか歪んでいることに気が付いた。
「…おまえってホント可愛くないよね」