小林君は一体何を考えているんだろう?突然、机の引き出しの中からノートを取り出すと、一番最後のページを躊躇することなく破った。

『な、何しているの?』

突発的な行動なら止めた方がいいと思い、ノートに手を置いた。小林君は私の顔を見て「大丈夫だよ」と一言言うと、再び作業を続けた。


隣からは「シュッ」という短い音が何度か聞こえてきた。何をしているのか気になって覗こうとしたけど、完璧にガードされていて見ることは出来なかった。そして数分後‥


『終わったぁ~』

ペンを置くと、一目散に先生に見せに行った。

『これなら公平ですよね?』

『そうだな』

先生は黒板の端にくっついていた磁石を4つ持ち、黒板の中央まで行った。小林君から預かった紙が見られないように隠しつつ、素早く4箇所を磁石で固定した。

『小林が考えてくれたのはこれだ!!』

立ち位置から少し右にずれてくれたけど‥大きなおなかが邪魔して見えなかった。

『先生で‥見えない‥』

『あっ!悪い悪い。女子は近くまで見に来ていいぞ』

すると一斉に女子は立ち上がり、黒板の周りに群がった。


『何?副学級長はあみだで決めるって事?』

『だって、人数が多いならじゃんけんとか時間かかるでしょ?』

『まぁそうだけど‥』

『じゃあ、文句言わずに名前書く!!』

小林君は、近くに居た彩ちゃんに持っていたペンを渡した。


『ちょっと!!何で彩が最初なわけ?納得いかない』

『‥‥‥』

小林君は呆気に取られていた。「もう、誰からでもいいんじゃない?」そう言い捨てて自分の席に戻った。「はぁ~」とため息を漏らす小林君に「お疲れ様」と言うと、「ありがとう」と返されて、少しあたふたしてしまった。