その後は、先生への質問コーナーが始まった。

始めは可愛い質問だったが、いつの間にか質問内容はエスカレートしていき、最後の質問は「先生はいつからその体系で、その頭なの?」と言う、西山君の発言だった。さすがにその質問には先生も怒り、入学式早々、2人目の被害者が出た。


『全く‥西山はブラックリストまっしぐらだな』

『そんなぁ~』

西山君の泣きそうな声に皆は笑った。

『あっ!そうそう、忘れるところだった。松浦俊ってどいつだ?』

先生は再び名簿に目をやり俊チャンを捜していた。すると、俊チャンの方が先に手を挙げて自分をアピールしていた。

『松浦は俺ですけど‥何ですか?』

何で自分の名前が呼ばれたのか分からず、首を傾げていた。すると、先生は教壇から降りて、俊チャンの横まで来て止まった。


『柳先生がな、何か分からない事があったら松浦に聞けって言ってたからさ』

『柳先生がですか?』

『おう。頼りにしてるぞ!学級長!!』

右手で俊チャンの背中を叩くと「バシッ」という音が教室中に鳴り響いた。今まで静かにしていた女子が、ここぞと次々に声を張り上げた。

「痛そう~」
「先生酷いよ」

と。女子の声が飛び交う中、先生は小声で「もてる男は大変だな」と言って教壇に戻って行った。そんな女子の反応を敏感に感じ取ったのは、今日、先生の被害にあった2人の男だった。


『何だよ、お前ら。俺や西山が叩かれた時はそんな声出さなかったじゃねえか!』

『そうだったっけ?』

さっきまで声を張り上げていた女子は、急にとぼけだした。それを見ていた2人の男は、少し腹が立ったらしくその場で立ち上がった。険悪な空気が漂う中、平然とした顔で一人の男子が先生に食って掛かった。


『先生!俺、もう学級長じゃないんでその呼び名、やめて貰えますか?』

先生は「お~悪かった」と全く悪びれた様子はなかった。それどころか「今年もやっちまえ」と笑いながら押していた。俊チャンは「絶対やらない!!」と言い切り、二人の会話は終わった。

かと思いきや‥俊チャンへの逆襲はまだ終わっていなかった。