『でもさ、どうして一緒に帰らなかったの?』

『それは‥田中さんの気持ちが分かるから‥』

『だから諦めたっていうの?もし、この先も同じようなことが起きたら、結はまた田中さんに譲るつもりなの?』

『そ、それは!!』

勢い良く言ったものの、自分に自信が持てず下を向いた。


『田中さんにお願いされた時、迷って俊君を見たって言ってたよね?でも、俊君は結から視線を外したって』

『うん‥。だから、どうしようか悩んで結局‥』

『その場から逃げ出しちゃったんだよね?』

『逃げ出したって‥』

『でもそういう事でしょ?
たぶん‥俊君も結の気持ちが知りたかったんじゃないかな。一緒に帰る事を選んでくれると願って、それで選択を結に委ねたんだと思うんだ。もし、昨日一緒に帰ってたとしても、その事に対して怒れないからね?』

『分かってる‥分かってるから‥』

下駄箱まで小走りで向かい、靴に履き替えて外の空気を思いっきり吸い込んだ。


『結~華代~、早くおいでよ!!』

クラスの女の子が私たちに手を振って呼んでいた。

『じゃあ、この話はここまでにして。この後は思いっきり体を動かそう』

『うん!!』

私たちは手を繋いで、クラスメイトの元へ走って向かった。