『さて、今日の午後は外で思いっきり遊びましょう』

先生は目を輝かせて言ってきた。

『でも何で急に?もっと早く言ってくれたら計画立てたのに‥』

『そうだよ~』

そんな声が飛び交う中、先生は「ごめん、ごめん」と何度も謝った。バラバラになっているクラスの雰囲気を一つにまとめたのは、俊チャンだった。

『時間もったいないし、すぐに校庭集合って事で』

『俊、校庭まで競争だ』

『望むところだ』

俊チャンと和樹君が教室を飛び出すと、次々と二人の後を追うように教室から出て行った。


『結、私たちも行こっか』

『うん!』

私は華代と二人で、ゆっくり歩き始めた。
結構早くに教室を出たはずだったのに、廊下で何人ものクラスメイトに先を越され、いつの間にか最後尾になっていた。


『結、今朝はごめん‥ね?』

『何で謝るの?』

『ん~‥なんとなく‥‥』

言葉を濁しているけど、華代の言いたい事は分かっている。今朝、俊チャンが教室に入って来るところを教えようと思って指差したら‥田中さんと二人でいる場面を私に見せてしまった事に対して謝罪しているんだろう。

別に何とも思っていないのに‥
何とも思ってなんか‥


そんな訳がなかった。
本当は、昨日あの後二人が一緒に帰ったのか気になっているし、今朝は何処から一緒だったのか気になっていた‥

ずっと黙っていようと思っていたけど、やっぱり華代にだけは話しておこうと思い、昨日の出来事を全て話した。