少しの間、黙ったままお互いを見つめ合っていた。幸せだったけど‥今思うと、この時間がなければって少し後悔している。
『えっと~‥帰る?』
私の顔を確認しながら聞いてきた。
『あっ!うん‥』
掴んでいた袖から手を離し、教室のドアへ向かって歩き出したとき、ガラッと扉が開く音が聞こえた。「誰か忘れ物でもしたのかな?」教室に入ってきた人物を見るまでは呑気に待ち構えていた。
教室のドアから身を乗り出したのは、今一番逢いたくない人物だった。
『田中‥さん‥』
私たちを見て一瞬、驚いた顔を見せたかと思うと無言で通り過ぎ、自分の椅子に着席した。
『どうして‥田中さんがここに?まさか暗号‥解けたの?』
不安な顔で話しかけると、俊チャンが私の腕を思いっきり引っ張ったので半回転した。
『何で結チャンが暗号のこと知ってるの?』
『えっと~‥』
思わず俊チャンから目を逸らしてしまった。
あの日の事をどうやって説明しようか悩んでいると、しびれを切らしたのか田中さんが口を開いた。
『俊が私に手紙をくれたあの日のあの後、下駄箱で結に逢ったの。その時、結も同じ様な紙を持っていて、私は紙を見せたの』
『結チャンの紙は‥見た?』
田中さんは首を横に振った。それを見た俊チャンの肩は、ガクンと下がったのを私は見逃さなかった。
『結の手紙には、ヒントは書いてないんでしょ?』
『あ!あぁ~‥』
返事は一応したけど、心ここにあらずといった体だった。
田中さんは、私たちを交互に見ると大きなため息をついた後、黒板に目をやった。
『二人が一緒にいるって事は、結は暗号‥解けたんだね‥』
『あっ!!うん‥』
表情は見えないけど、声は‥今にも泣き出しそうな声だった。
『えっと~‥帰る?』
私の顔を確認しながら聞いてきた。
『あっ!うん‥』
掴んでいた袖から手を離し、教室のドアへ向かって歩き出したとき、ガラッと扉が開く音が聞こえた。「誰か忘れ物でもしたのかな?」教室に入ってきた人物を見るまでは呑気に待ち構えていた。
教室のドアから身を乗り出したのは、今一番逢いたくない人物だった。
『田中‥さん‥』
私たちを見て一瞬、驚いた顔を見せたかと思うと無言で通り過ぎ、自分の椅子に着席した。
『どうして‥田中さんがここに?まさか暗号‥解けたの?』
不安な顔で話しかけると、俊チャンが私の腕を思いっきり引っ張ったので半回転した。
『何で結チャンが暗号のこと知ってるの?』
『えっと~‥』
思わず俊チャンから目を逸らしてしまった。
あの日の事をどうやって説明しようか悩んでいると、しびれを切らしたのか田中さんが口を開いた。
『俊が私に手紙をくれたあの日のあの後、下駄箱で結に逢ったの。その時、結も同じ様な紙を持っていて、私は紙を見せたの』
『結チャンの紙は‥見た?』
田中さんは首を横に振った。それを見た俊チャンの肩は、ガクンと下がったのを私は見逃さなかった。
『結の手紙には、ヒントは書いてないんでしょ?』
『あ!あぁ~‥』
返事は一応したけど、心ここにあらずといった体だった。
田中さんは、私たちを交互に見ると大きなため息をついた後、黒板に目をやった。
『二人が一緒にいるって事は、結は暗号‥解けたんだね‥』
『あっ!!うん‥』
表情は見えないけど、声は‥今にも泣き出しそうな声だった。