田中へ
日曜クラスでのんびり日向で人間観察駅でやるよ。

<ヒント>
俺の好きな選手の背中を飛び越えろ。


と書かれていた。

『‥‥‥』

俊チャンは田中さんに何を訴えているんだろう。少し体を捻り考えてみた。


この文章を直訳すると‥
「日曜日、晴れたらクラス全員で、近くの駅で人間観察でもしよう」だよね?でも、それだと変だよね。
どうして日曜日に?
何でクラス全員なんだろう。

それに‥ヒントの「好きな選手の背中」って何を示しているんだろう。私は蟻地獄から逃げ出せなくなっていた。


そんな状況から救いの手を差し伸べてくれたのは田中さんだった。

『結の手紙には何て書いてあったの?』

『へっ?』

『だから、結の手紙の内容だよ。二人で協力すれば解読できるかもしれないでしょ?少ししゃくに触るけど‥』

そう言って、無理矢理私の手から手紙を奪い取ろうとした。私は必死で手紙を隠し見事に守りきった。下校のチャイムが鳴り終わった後の玄関は、人通りはなく静かだった。田中さんから少し離れて、とりあえず謝った。

『ごめん‥』

その一言は、各教室まで聞こえたんじゃないかと思うくらい響いた。


『私の手紙にはヒントは書いてなかったよ。要件だけが書かれていたの』

『そうなの?』

疑いの目で見つめてきた。その目は、私の心まで見透かしそうだったので怖かった。この場合、本当の事を言って丸く納めるべきなのだろうか。でも‥言ったら絶対に後悔する。言わなくても後悔しそうだけど‥

だったら!!


『ヒント教えてくれてありがとう』

結局言わない方を選んだ。