そして今日も‥


『俊!先生が呼んでるよ』

いつもの様に俊チャンの名前を呼んでいた。

『あ‥あ~すぐに行くから先に行ってて』

田中さんはドアの前に立ち、俊チャンがゆっくり立ち上がる姿を見ていた。


『お前も毎日大変だな‥』

和樹君は呆れ果てた顔で言った。
俊チャンは一度ため息をしてから「今日も放課後、一緒に遊べない」とクラスの男子に伝えると、しぶしぶドアの前まで歩き始め田中さんに引っ張られるように教室を出て行った。


『田中‥入学当時は可愛かったのにな』

囁くように言うと、隣にいた華代が優しく頭を叩いていた。

『冗談だよ』

『冗談でも‥私以外の女の話は聞きたくない!!』

頬を膨らませて怒っているつもりだろうけど、全然怖くない。和樹君は笑いながら華代の頭を撫でていた。

『私、怒ってるんだよ?』

『はいはい(笑)
華代の方が断然可愛い』

『んっ!!‥あ、ありがとう』

二人は見つめ合って微笑んでいた。

私は、この光景を毎日見ている。付き合い始めた頃は面白がって冷やかしていたけど‥もう騒ぎ疲れた。飽きずに毎日毎日‥

でも、二人の幸せそうな姿を見ていると不思議と私まで幸せな気分になってくる。この場所は(俊チャンがいてくれたら尚更)居心地がよかった。

私はいろいろ想像して、一人で少し笑った。


『結どうしたの?ちょっと怖い‥』

『ううん。何でもないよ(笑)』

目をゴシゴシ擦って、溜まっていた涙をふき取った。


華代と二人で話していると、しばらく黙っていた和樹君が腕組みをしながら、眉間にしわを寄せて聞いてきた。