『結、本当にごめん!!』

それだけ言って黙ってしまった。その行動があまりにも可愛かったので、少し意地悪したくなった。

『華代~本当に悪いと思ってるの?顔は笑ってるよ』

そう言って、人差し指で華代の頬を突いた。

『桜井!あんまり華代をいじめるなよな』

必死に守ろうと自分の後ろに隠した和樹君も、少しからかってみたくなって笑いたい気持ちを堪えて話し始めた。

『和樹君ってば‥過保護』

すると、和樹君は口をパクパクさせて何か言いたそうだった。でも、思うように声にならずに苦戦していた。華代に目を移すと、子犬みないな潤んだ目で私に何かを訴えかけていた。


「意地悪し過ぎちゃったかな?」と反省していると、私の横で二人の様子を面白がっている人が一人。肩が微動だに動いていた。

二人は、ここに残っているとまたからかわれると思ったのか、私たちに背を向けてドアに向かって歩き始めた。そんな様子を静かに見守っていると、和樹君が突然振り返った。


『桜井!とうぶん華代と帰るから一人が寂しかったら俊と一緒に帰るんだな。俊もだけど(笑)』

『えっと‥ごめんね?結、また明日学校で』

それだけ言って二人は帰っていた。


『『‥‥‥』』

私たちの間に、気まずい空気が流れていた。

和樹君をいじりすぎた。
今さら後悔したって後の祭りだ。どうしよっか‥この状況‥
ゆっくりと俊チャンに視線をずらしていくと、目が合って思いっきり逸らしてしまった。

更に気まずい。


いろいろ考えて打開策を捻り出した。それは‥

『ごめんね!』
『ごめん!!』

謝る事だった。
でも、俊チャンと声が重なり困惑した。どうして私に謝るんだろう?首を横に傾けた。