私の態度に、さっきまで笑っていた和樹君は「しまった!!」という顔をしていた。

『イヤ、俺‥会話に参加してたわけじゃないから‥』

そう言って話を濁そうとしていた。でも、私は逃がさなかった。


『それでもいいから!和樹君が知ってる範囲でいいから!!』

私の勢いに圧倒されていた和樹君は、観念した様子で肩を撫で下ろして話し始めた。


『この間、教室でたまたま聞いちまったんだよ。クラスの女子が「桜井と俊ってどうしてあんなに仲がいいんだろう?」って話してるのを。それでな、その話題の中心に居たのが3姉妹だったんだ。だからてっきり、直接対決してるのかと‥』

『直接対決って‥私は別に‥』

チラッと横目で俊チャンを見た。
俊チャンを率いる守っているチームは、私の事なんて眼中になく、試合を行なっていた。


すると、一人の男の子が私に向かって話しかけてきた。

『俺も気になってたんだけど、お前等ってどういう関係!?』

『どういうって言われても‥‥前に和樹君に同じこと聞かれたんだけどね‥私と俊チャン、保育園のとき同じクラスだった‥の‥』

『それだけ?』

『他に何があるの?』

私たちの会話をよそに、他の男の子が俊チャンに向かって叫んだ。


『桜井と俊ってどういう関係なんだよ?』

『はっ!?』

マウンドの中心にいた俊チャンは、ボールを持ったまま私達の方に振り向いた。


『だから、桜井と俊の関係だよ。今、桜井に聞いたら「保育園のとき同じクラスだった」って言ってるんだけど‥』


‥‥‥

『そうだけど?』

少し不機嫌そうに答えていた。それは、攻撃チームの誰もが感じたことだった。


『そ、そうか。分かった!もういい‥』

慌てて話を終わらせた。


『試合再開するぞ!!』

俊チャンはそう言って、持っていたボールをホームに向かって投げた。