私は、皆が見えなくなったのを確認してから話しかけた。

『私に何か用??』

すると、私に話しかけてきた女の子が口を開いた。

『ちょっと聞きたいことがあって』

話しかけてきた女の子を挟んで立っていた2人も静かに頷いた。何が聞きたいの?私は少し怖かった。この場から逃げ出したかった。でも、冷静な態度で聞き返した。


『聞きたいことって何?皆待ってるから、早く行きたいんだけど‥』

私は急かすように言うと、「じゃあストレートに聞くわ」そう言って3人は、一歩前に出てきた。私は思わず後ずさりしてしまった。


『結チャンって、俊君と付き合っているの?』

『へ??』

想像がつかなかった訳じゃない。でも、実際言われるとこんな返答しか出来なかった。

『へ?じゃないわ。どうなの?付き合っているの?』

3人は、さっきよりも更に私に近づいてきた。


『付き合って‥ないけど‥??』

『じゃあ、どうして2人は仲がいいの?私たちには話しかけてくれないのに、結チャンには普通に話しかけているじゃない』

『そ、それはきっと‥保育園のとき、同じクラスだったからだよ』

『本当にそれだけ?』

『そ、それだけ。何なら俊チャンに直接聞いてみれば?同じこと言うと思うよ』


私の提案に、1人の女の子が喜んでいた。

『明日、聞こうよ!!そうすれば明日、俊君と話が出来るね』

『そうじゃん!そうしようよ!!』


3人は話し合ってから再び私を見てきた。今度は何を言われるの?そんな思いで3人を交互に見た。


『分かったわ。俊君に直接聞いてみる。ごめんね。急いでいる所を呼び止めちゃって』

『う、ううん!!じゃあ、私もう行くね。また明日』

逃げるようにその場から立ち去った。


30mくらい走った辺りで一旦止まり、後ろを振り返った。その時にはもう、3人の姿が見えなかった。

『あれって、3人も俊チャンの事が気になるって事‥だよね?』

しばらく誰も居ない下駄箱を見つめていた。



『ヤバイ!皆待ってるんだった。急がないと!!』

私は再び走り出した。