『あのね、私にお願いしたからって「おまけ」で紹介してもらえるかは分からないんだよ?』

みんなから逃げるように俊チャンの後ろに隠れると、耳元で囁かれた。

“逃げよう”

私は大きく頷き、アイコンタクトでタイミングを合わせて夕陽に向かって走り出した。

『ちょっ、結!!』
『俊!!』
『おい、逃げるなよ〜!!』

振り返るとみんなが必死になって追いかけてきた。その姿を私は笑って見ていた。


こうやって隣には俊チャンがいて、支えてくれる親友がいて、ライバルだった友達がいて、クラスメイトがいて。

いろんな事があったけど、今となっては全てが大切な思い出で、一つでも違った道を選んでいたら、この結末には行き着かなかったと思う。

6年前に同じ教室に足を踏み入れた時は、みんなと友達になれるのか不安もあったけど

6年間、同じ教室で勉強したクラスメイトは永遠の友達だと、今は胸を張って言える。

今まで本当にありがとう。

中学生になったら、顔を合わすことはあっても今までと同じ関係ではいられなくなるかもしれない。それでも、今日まで築き上げた「絆」は消えることはない。

そう信じているよ。


それから‥今まで照れくさくて声に出して伝えたことはなかったけどね。私ね、みんなの事が‥

『大好き‥だよ。』

大きな声で叫ぶと後ろから呼び声が聞こえた。でも振り返らなかった。振り返らなくても分かる。きっと、みんなの顔は笑っているに違いない。













2008.07.05
[完]