俊チャンは、名前を呼ばれても3人の名前が分からなくて考え込んでいた。その様子に3人は期待を込めた目をして待っていたが、一向に一人として名前を呼ばれる事はなかった。

『俊‥もういいよ』

千鶴は困った顔になって、黙ってしまった。

『ごめん‥』

俊チャンも黙ってしまったことを気にしてか、由愛が陽気に話し出した。

『私はずっと俊の事が好きだからね。結と別れたら、いつでも私のところに来て。待ってるから』

その後ろには花梨が立っていた。今にも泣き出しそうな様子に戸惑いを隠せずにいると、和樹君が助け舟を出してくれた。

『モテル男は大変だな(笑)』

訂正。
和樹君は俊チャンに茶々を入れてきた。


『ってかさ、この話の主人公って桜井だろ?なんで「おまけ」は俊がメインになりつつあるんだよ?』

『そうか?』

『そうだよ。
ってことはつまり、「おまけ」は誰がメインでも良いってことだよな。じゃあ、俺と華代のハッピーライフでもいいってことか』

『和樹!!』

ニヤニヤしている和樹君を、華代が顔を真っ赤にして止めた。でも‥ちょっぴり嬉しそうだったりして。私はいろいろ想像して、一人で笑っていた。

『だからさ、何度も言うようだけど俺に言うなって。お願いとかあるなら結に言えって』

『えっ!?私??
‥ん。今、私のこと‥結って呼んだ?』

『さぁ〜(笑)』

嬉しかったけど、少しだけ照れくさかった。

私たちは何も言わず見つめ合って微笑んでいた。すると、みんなはジリジリと私に近づいてきた。

『結に言えばいいんだね?』
『桜井、バスケの‥』
『修学旅行‥』
『中学生活‥』

『ちょ、ちょっと!!みんな落ち着いて。目が怖い‥』

咄嗟に俊チャンの手を掴んだ。