普段一緒にいる人と笑い合っている中、一人遠くの方で誰かに話しかけようか悩んでいる女の子がいた。普段はとても大人しくて際立って大人っぽい愛ちゃんだ。愛ちゃんはチラチラこっちを見ていた。

ん!?私を見てるのかな?

首を傾げて見ていると、一直線に私を目掛けて走って来た。

『あのね、結チャンに聞きたい事があるんだけど!!』

あんなに大人しい愛ちゃんからは想像もつかない慌てようと勢いのよさに圧倒され、すぐに返事ができなかった。華代が私の肩に手を置いてくれて。それで漸く事の状況を把握することができた。

『あっ、ごめん。えっと‥私に聞きたい事って何だろう?』

笑顔を向けると、愛ちゃんの表情は一瞬にして曇り。かと思ったら、今度は顔が真っ赤に染まっていった。

『えっ!?私‥どうしよう?』

1人で慌てふためいていたら、愛ちゃんも取り乱しだした。

『えっと‥』

2人で「どうしよう、どうしよう」と混乱していると、華代が「落ち着いて」と一声かけてくれて、その声で気持ちを取り直した。もう一度話したい事って何?と聞くと照れくさそうに話し始めた。

『あのね。ほら、私たちって今はまだ小学生でしょ?その‥‥』

『ん?』

何が言いたいのか分からなくて、愛ちゃんをじっと見つめていると目が合った。

『えっとね‥‥私たちの将来ってどうなっているのかなって思って』

『えっ???』

そんな事今の私にも分からなくて、返事に困っていると小林君と西山君が私の前に来た。

『桜井さん、俺って大学生になれてるのかな?』
『俺の職業は?』

ジリジリと2人が近づいてきたので、反対に遠ざかろうと後ろに下がると、ベンチに足をぶつけその反動で勢いよくベンチに腰を下ろした。足がジンジンと痛み、痛めた箇所を摩っていると目の前に影が見えた。きっと2人が立っているんだろうと思いながら嫌々頭を上げると、そこに居たのは女の子だった。

『俊‥』

声を掛けたのは千鶴で、その横には由愛と花梨もいた。