チラッと横目で俊チャンを見ると、ぼーっと遠くを見ていた。不意に同じ景色を見たくなり、勇気を出して隣に腰を下ろすと、私の行動にびっくりしていた。私の横顔をじっと見て、ほんのちょこっとだけ微笑んだのが分かった。目を合わせるのが照れくさかったので、ずっと正面を見ていた。

隣に俊チャンがいると思うだけでドキドキしたけど、安心感もあってとても心地よかった。

体が温かくなっているのを感じ始めた頃、私の目はだんだんと視界が狭くなっていった。このままだと寝ちゃうかもしれないと思い、勢いよく体を横にズラした。そのとき、俊チャンと目が合うだけでなく小指から電気が走った。

ゆっくりと手元を見ると、お互いの小指が微かに触れていた。

『えっと、これはね‥』

離そうと思えば出来たのに、そうはしなかった。だって、心の中ではもう少しだけ触れていたいと願っていたから。私からこの手を動かすのはない。もしあるとするならば‥俊チャンが先だ。

どんな結論を出すのか待った。

待ったけど、俊チャンの手が動く気配がなかった。それが分かると急にドキドキが再発しだした。心臓が小指に移動したみたいに、触れた指から脈を打っているのを感じた。でもそれは、私だけでなく俊チャンも同じように緊張していたみたいだった。お互いの脈がリズムよく交互に打っていた。


『遠くに行きたい‥』

突然俊チャンが言い出した。横目で見ると、目を閉じてその場所をイメージしているように映った。私も一緒に行きたいな。遊びに行く約束が出来たらいいなと思いながら、一緒に目を閉じた。

清々しい川の音が聞こえてきて、辺り一面緑があって、大きく息を吸い込むとリラックスが出来た。こんな場所に2人で‥

ふと目を開けると、俊チャンが私の顔をじっと見ていた。

『ど、どうしたの?』

震えた声で聞くと、私から視線を外し再び目を閉じた。

『いや、何を見てたのかなって気になって』

『私?私はね、山に行った所を想像してたよ。空気が美味しくて気持ちよかった。俊チャンは?』

『俺?俺はね‥』

一人で笑いながら言った。