その頃、俊チャンたちは‥



コンコン

『失礼します』

田中さんは、職員室の扉を叩いて開けた。


『2人とも、こっちよ』

俊チャンと田中さんは、先生の前まで歩いて近づいた。


『ここに腰掛けて』


『『はい』』

2人は、返事をして座った。


正面には先生がいて、その奥に先生の机が少しだけ見えた。

先生の机は、何も置いてなくてスッキリしていた。唯一置いてあるものは、私たちの入学式の時に撮ったクラス写真くらいだった。


いつもならペンを持って話しかけてくる先生なにの、今は何も持たずに話しかけてきた。

『松浦君、学校には慣れましたか?』


『まぁ』

俊チャンは、無愛想な返事をした。


『そうですか。田中さんは?』


『はい。友達もたくさん出来て、毎日楽しいです』


『1年1組は、元気のいい生徒の集まりで、先生も毎日学校に来るのが楽しいわ』

先生は嬉しそうに話していた。


『ある生徒からの要望でね、席替えをしたいって言う子がいるんだけど、どう思いますか?クラスのみんなに聞く前に、2人の意見を聞いておこうと思ってね』

先生は少し前に乗り出して、2人の答えを待った。


『俺は、このままでいいと思います』


『どうしてかな?』

先生は聞き返した。
俊チャンは、とにかく面倒くさいことが嫌いな性格だ。だから答えはもちろん‥


『面倒くさいんで』

その答えに、先生は苦笑いをしていた。


『えっと‥田中さんは、どう思う?』

もっといい意見を田中さんに求めた。