次の授業は、あっという間だった。
だって、私の大好きな算数だもん!!
算数って答えが一つしかなくて、私は、その一つの答えを導き出す作業が好き。答えが出なくても、試行錯誤して考えるのも好き。


その頃

俊チャンは寝ていた。俊チャンは数学が大嫌いなの。
「分からなくなっちゃうよ~」
私は心の中でいつも叫んでいた。



『さて、今日の授業はここまでにしましょう。復習しっかりやっておいてくださいね』


『『はぁーい!!』』

クラスのみんなの大きな声で、俊チャンは起きた。


『おはよ、俊チャン(笑)』


『あっ、おはよう』

俊チャンは、はにかんで笑った。


『この後~‥』

俊チャンが私に話しかけようとした時、田中さんが間に入ってきた。


『俊君、先生のところに早く行こう!!』

俊チャンの腕を引っ張って、無理やり連れて行こうとしていた。



『あっ!!結チャン、後で校庭行くから』

あっという間に2人は教室からいなくなった。



『行っちゃった‥』

心の中で言ったつもりが、声に出ていたみたい‥


『本当だね。あっという間に行っちゃった』

私は、ビックリして振りかえった。
すると、そこにはクラスの男の子がボールを持って待っていた。


『早く行くぞ!!桜井がいないと試合にならないんだから』

私の手を掴んで走り出した。


『そ、そんなに急がなくても校庭は何処にも行かないよ』

誰も私の言葉に耳を傾けてはくれない。


私は、教室から校庭までノンストップで走った。