ゆっくりと掌を開くと、そこにはチョコレートがあった。

『何これ?』

『えっ?チョコレートだけど』

『それは見れば分かるよ。そうじゃなくて、何でチョコ?』

『何でって(笑)
もうじきでしょ。バ・レ・ン・タ・イ・ン☆』

『ッッ!!!!!!』

驚いて後ろに下がると、再び机に足がぶつかり「ガシャーン」という音が教室に響き渡った。すると、またまたクラスの注目の的となってしまった。

『あは、あははは‥』

苦笑いをしていると、みんなは冷めた目で私を見ていた。2度目となると、流石に気まずかった。だけど華代は、私が慌てふためいた姿を見てお腹を抱えて笑っていた。

『華~代!!』

ジリジリと華代に近づくと、後ろから低い笑い声が聞こえてきた。

『あはは~。
さっきから桜井何してんだよ(笑)』

振り向くと、和樹君と悠君と‥俊チャンが近づいて来た。

『だって華代が、バッ‥!!』

そこまで言って、慌てて両手で口を塞いだ。

『「バ」って何だよ?』

『ふううん』

頭を左右に振った。

『桜井、顔真っ赤だぞ?』

和樹君にそう言われて、両手で顔全体を隠した。

『華代、何かあったのか?』

右手の人差し指で目に溜まった涙を拭き取り、今までの状況を説明してくれた。


『結とね、さっき先生がホームルームで話していた事について語ってたんだよ』

『さっきって、陸上の結果の事か?』

『そう。表彰台に上れなくて残念だったねって。ねっ!結』

華代は「話を合わせて!」と、ウインクをしてきた。私は、シドロモドロになりながら「う‥うん!!」と返事をした。