『あの日‥俊チャンが見つけてくれなかったら、私どうなってたんだろうね‥』

『そりゃあ、暴れてたんじゃない?』

『暴れる?私が?どうして‥?』

『だって、あの日のおやつプリンだったから(笑)』

『プリンくらいで暴れたりなんてしないよ!!』

俊チャンの胸の辺りを思いっきり叩こうとしたけど、途中で止めた。その代わり、ゆっくりと俊チャンの右手の服の袖を掴んで俯いた。

この時の私は私じゃなかった。

こんな大胆な行動をしてたなんて‥恋の病にかかっていたんだと思う。そうに違いない。そうじゃなかったら‥

中学生になってこの頃のことを思い出して、顔が真っ赤になるのは数年後のお話し。


『ありがとね、私を見つけてくれて』

『それはもう昔の話だろ?』

俯いたまま、頭を横に振った。

『じゃあ‥』
『この間‥‥私が屋上にいるって華代に教えたのって俊チャンなんでしょ?ありがとう。あの時は一人でいたくなかったから‥だから華代が来てくれて嬉しかったの』

『俺が教えたって事は黙ってろって言ったのに‥大原の奴‥』

『ううん!華代からは何も聞いてないよ。ただ、私がそう思っただけ。だから華代を攻めないで!!』

顔を上げると俊チャンと目が合った。恥ずかしさのあまり、思いっきり目を逸らしてしまい、気まずい空気が漂った。

何か話さないと‥えっと‥‥

無意識に、掴んでいた手に力を加えた。