『結はいつも自分の気持ちを隠してる。今だってそう‥こうやって私が聞かない限り、話そうとはしてくれない。呼び出したのは結なのに何も言ってくれなかった。
親友なんでしょ?だったら格好悪くったって良いじゃん。泣いたって良いじゃん。私の前で強がったりなんてしないで。結の心は今泣いてるんでしょ?』

心の中まで見透かされた。

そっか‥私の心は今泣いているんだ。そう思ったら涙で前が見えなくなった。

ずっと何か変だなぁとは思っていた。でもそれが何なのか分からなかった。普通に生活できていたので気付かなかったけど、漸く分かった。私‥あの日以来、泣いてない。


”カノジョジャナイ”

そう目の前で言われたときは目に涙が溜まった。でも、目の前に鳴海君が現れて、泣いている姿を見られないように必死で隠した。

家でビデオを観ている時も、いつもなら泣いちゃう映画を観ても‥そういえば涙を流していなかった。

我慢していた涙腺がゆるんだ。


教室に誰かが入ってきたら絶対に変に思うだろう。黒板の前で声を張り上げて泣いている女子が2人もいるなんて。でも、今の私たちにはそんな事どうでもよかった。今は、涙が枯れるまで泣き続けた。