『和樹、じゃあまた明日』

『おう!桜井もまた明日な』

『‥うん、明日』

最後まで残っていた和樹君も帰ったので、今教室にいるのは私と華代だけになった。廊下からも外からも人の気配が感じられなかった。


『ごめんね‥今日一緒に帰る約束してたん‥だよね?』

華代は私の顔を見て、ちょっと笑った。

『気にしなくていいよ。明日も学校で逢うんだし。
それより話って何?結の恋の話ならいつでも大歓迎だよ!!』

嬉しそうに話しながら和樹君の席に座った。華代の隣の席に座ろうか迷ったけど、自分の席が近かったのでそこに座った。

『それで?』

体を乗り出して私の言葉を待っていた。でも、どこからどうやって話せば自分の気持ちが伝わるのか考えていたら、長い沈黙だけが続いた。

すると、華代は立ち上がって黒板に何かを書き始めた。何を書いているのか気になったので、立ち上がって黒板に目を向けると、相合傘を2つ書いていた。

1つには、華代と和樹君の名前が既に書き込まれていた。そしてもう1つには‥私の名前しか書き込まれていなかった。


華代は下を向いたまま話し出した。

『ずっと気になってたんだけどさ‥鳴海君とは何も無いよね?私が知らないだけで2人は付き合ってるとか‥そんな事ないよね?』

なんで私と鳴海君がそんな関係に見られているのか不思議でしょうがなかった。

『ある訳ないじゃん。ただの友達だよ?それに、私が好きなのは‥‥』

言葉に詰まってしまったので話をもとに戻した。


『誰かにそう言われたの?』

華代は首を横に振った。

『じゃあ、どうしてそう思ったの?華代に黙って誰かと付き合うなんて事、ある訳ないじゃん!!私たち親友だよ?何でも話してきたよね?』

すると、華代は涙目で私に訴えてきた。