長かった4時間目の国語が終わり、給食の時間が来た。「給食の時間」この時間は今では少しだけ、ほんの少しだけ辛いと感じる。

班毎に机を合わせて向かい合って食べる。
私の前には小林君、左斜め前には俊チャン、隣には鳴海君がいる。男子に囲まれる事が辛いんじゃない。俊チャンと目を合わせることが少し怖くて、逃げるように避けている事が辛い。


あの日以来‥

俊チャンと会話をする事が少なくなった。他の教室に移動するときは、鳴海君を入れて5人で行動を共にするが、ほとんど華代と2人で話していた。時々、華代と和樹君が2人で話をする。そんな時は、少し距離をとって歩くようにしていた。

華代は私の気持ちを知っている。だから、クラスの事で先生に呼ばれる度に、どんな内容を話したのか詳しく教えてくれる。それだけじゃなくて、俊チャンのその時の様子とかも。

「元気なかったけど何か知ってる?」
「パソコンやりたいんだって。どう思う?」

いつでも私の事を心配してくれて思っていてくれる。それなのに、私から自分の正直な思いを話したことはない。言わなくても何でも分かってくれている‥華代に甘えていたのかもしれない。

華代はきっと、私から打ち明けてくれるのを待っていると思う。だから、華代にだけは包み隠さず何でも話そう‥そう思った。


『結さん?』

不安そうな声で名前を呼ばれた。

『ん、なに?』

箸を持ったまま横を向くと、鳴海君が笑っていた。

『ううん、何でもない。もう大丈夫みたいだね』

『大丈夫みたいって、どういう意味?』

『ううん。
それより早く食べないと結さんのプリン貰っちゃうよ(笑)』

そう言って、机の上に置いてあったプリンを本当に取ろうとしたので、舌を出して威嚇した。

『ダーメ。これは私の物なの』

『結さんって‥子供みたい』

『どうせ私は子供です』

そんな幼稚な言い争いをしていると、先生が私たちのプリンを取り上げた。


『プリンくらいでムキになるなよ!!』

『『あっ!!』』

鳴海君のせいで大好きなプリンが食べられなくなってしまった。