『悠~!俊の隣にいるのは、桜井結な』

和樹君の顔からは不敵な笑みが見え隠れしていた。余計なことを言わないかと、冷や汗が額から流れた。


『桜井の席は、お前の前な。
さっき一緒のチームでサッカーやって分かったと思うけど、運動神は経抜群だ。頭は‥』

『和樹君!!』

それ以上言わせないように、大声で叫んだ。

『おっと。これ以上言ったら本気で怒られそうだから止めとこう。じゃあ、あとは‥華代の親友でいつも一緒にいて。それから‥』

今度は視線を俊チャンに移した。

『何だよ?』

俊チャンも、何で自分を見てきたのか分からないという顔で和樹君を見つめ返した。


『俊と桜井は保育園からの幼馴染で‥な(笑)』

『それが何だよ?』

『別に~ただ事実を言っただけだよ(笑)』

『何だよ、その顔』

回りくどいことをいう和樹君に対して苛立ちを隠せなくなった俊チャンは、和樹君のいる方に向かって歩き始めた。すると、入れ替わりに鳴海君が私の方に向かって歩いてきた。

自分でも分からないけど‥何かを感じ取った私は、身構えた体勢で待っていた。


『鳴海悠です。よろしく』

華代のときと何も変わらない様子に一安心した。と同時に、身構えてしまった自分を深く反省した。

『桜井結です。よろしくね』

すると、何故か握手を求められた。

始めはその行為に抵抗を感じたが、さっき鳴海君に対して防御体勢に入ってしまったことへの謝罪のつもりで、その手を掴んだ。


‥‥ん!?

掴んだ手を緩めても鳴海君は離してくれなかった。